海外支店に転勤になったり、配偶者の海外転勤で自分も海外へ引っ越す事になったり、留学やワーキングホリデーで数年日本以外の国住む場合、住民税や所得税はどうなるのか、不安に思う人もいると思います。
そこで今回は、海外在住になった場合の住民税や所得税について簡単にご説明します。
すでに海外在住の日本人の方でも、手続きを怠ってしまった人にも確認してほしい事項になります。
【こんな人に読んでもらいたい】
- 海外に行く予定で住民税・所得税について知りたい人
- 海外に行く場合の必要手続きを知りたい人
海外へ前にやる事
海外に行ってからだと、委任状を書いたりなど面倒な事になる可能性がありますので、手続き関係は、渡航前に済ませておきましょう。
①転出届を出す
海外へ住む予定が1年以上の場合は、役所にて海外転出届を出す事をおすすめします。
海外転出届を出すと、マイナンバー、国民健康保険証は返却しなければいけません。
これだけ聞くと、マイナスなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、海外転出届を出さずに海外に引っ越してしまうと、毎年、住民税や国民年金、国民健康保険等の保険料などの支払いを続けなければいけないことになります。
海外に住んでいるのに、住民税や保険料を払ってまで、日本のマイナンバーや国民健康保険証を持っておく必要は、あまりないと思います。
もちろん、1年以内に帰国予定であれば別ですが、1年以上中長期的に海外に行くのであれば、転出届を出した方が良いです。
私も転出届を出して現在、非居住者となっていますが、何の不便もなく生活できています。
今までイギリス・ドイツ・イタリアに中長期的に住んだことがあるor現在も住んでいますが、どの国にも健康保険はあり、ほぼ無料で病院にかかることができます。
歯の治療だけは保険が効かないので、もし、虫歯治療をしたいと思っている方は、日本に1か月程度滞在できる時間を作り、転入届を役所に出し、国民健康保険証を貰って歯医者に行くことをおすすめします。そして、再度転出届を出して日本を出国すれば、日本で保険を使って虫歯治療をすることができます。
- 中長期的に日本へ一時帰国
- 市役所にて転入届を出す
- 保険証を貰う
- 歯医者へ行く
- 市役所にて転出届を出す
- 出国する
年金について
年金ですが、海外在住の日本人の場合、「脱退」か「任意加入」かを選ぶことができます。(詳しくは日本年金機構のHPをご参照ください。)
これは、直接役所の窓口に行って手続きをしなければいけませんので、出国前に必ず行うようにしてください。
海外への引っ越しが決まったら、まずは役所に行って必要手続きをすることをおすすめします。手続き自体は、半日あればできると思いますので、仕事をされている方でも調整して行うようにしてください。
役所に行く際は、今お持ちの保険証・マイナンバーカード・年金手帳などの原本を持って行くようにしましょう。
では次に、先ほどから少し登場している「非居住者」について説明します。
居住者とは
現在まで継続して1年以上日本に居住しているか、または生活の中心(職業など)が日本にある人のこと
非居住者とは
日本における居住期間が1年未満の人、または生活の中心が国外にある人のこと
自分は居住者?非居住者?
自身が「日本での居住期間」と「生活の中心はどこか」について考えると分かりやすいかと思います。
まず、どんな滞在方法でも(例えばホテル住まいなど)1年以上日本に居れば居住者です。
日本の滞在期間が1年未満の場合は、「生活の中心はどこか」で判断をします。
判断材料としては、①日本で仕事に就いているか、②日本に生計を一にする家族がいるかといった点になります。
どちらにも当てはまらない場合「非居住者」となります。
自分が非居住者か居住者かまだはっきりしない人は、税に関する相談窓口に問い合わせましょう。
非居住者は住民税は払わなくていい?
1月1日時点で日本に居住していたら、前年分の住民税を払う必要があります。1月1日時点で海外在住ならば、前年分の住民税は払う必要はありません。
つまり、1月1日時点で海外転出届が出ていれば、住民税は払わなくていいんです。
住民税は前年分が請求されるので、例えば2020年12月に海外転出届を出して海外に行けば、2021年1月時点では非居住者となっています。
つまり、同年1月~12月31日までは日本にいたけれど、翌年の1月1日時点で非居住者となっていれば、住民税は課税されません。
市役所が冬休みに入る前までに転出届を出しておき、翌年の1月1日時点で転出となっておくようにしましょう。
非居住者の所得税について
基本的に、海外に住んでいる日本人の方の場合、居住期間(または居住予定期間)が1年以上であれば、非居住者になるので、日本の所得税の納税は必要ありません。
ただし、海外に在住することになっても、継続して日本国内に発生源のある所得がある人については、毎年確定申告が必要となります。
例として、海外勤務になったサラリーマンが日本にある自宅を誰かに貸して、家賃収入を得ていた場合などでは、確定申告が必要となります。
ただ、ここで問題になるのが、非居住者の確定申告の方法です。
確定申告は国税電子申告・納税システム「e-Tax」でできますが、これを利用するには、マイナンバーが必要になります。
海外転出届を出すと、マイナンバーもなくなりますので、国税電子申告・納税システム「e-Tax」の使用ができません。
非居住者が日本で確定申告するには、申告を代行してくれる納税管理人という人を決め必要があり、これは出国前の手続きが求められます。
納税管理人とは、確定申告書を提出すべき納税義務者に代わって、納税の手続きを行う人や法人をいいます。
確定申告が必要となる場合には、納税管理人を定め、「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を、その人の納税地を所轄する税務署長に提出しなければなりません。
ちょっと忘れそうなポイントですが、出国前の手続きとなりますので、確定申告の必要がある人は、早めに行っておきましょう。
1年未満の海外滞在の場合
1年未満の海外滞在であれば、日本では居住者となります。そのため、日本で住民税・所得税共に収める必要が出て来ます。
ただ、少しの期間海外で働いていると、その国でも税金を払っている事になり、二重に税金を支払ってしまう事になります。
そこで、租税条約というものが存在し、短期滞在者免税の条件を満たせば、その国(海外)での個人所得税の納税義務は生じないという事になります。
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まとめ
今回は、海外在住の日本人の方、またはこれから海外に引っ越しをされる方向けに、住民税と所得税について簡単に説明しました。
海外に引っ越すと何かと手続きが必要になり、そのために有休を使ったりと少し面倒だと思います。
しかしながら、この少しの面倒をせずに海外に行くと、もっと面倒な事になりかねませんので、必ず出国前に必要な手続きは行うようにしてください。
役所で「海外転出届」を出すこと自体は、半日もあれば終わる話ですし、全て役所の方の指示に従えば何も難しくありません
年金については、社会保障協定が結ばれている国かどうかによっても対応が変わります。
社会保障協定とは、わかりやすく言うと下記の2つの目的のために結ばれています。
①「保険料の二重負担」を防止する
②年金制度への加入期間を通算することにより、年金受給のために必要とされる加入期間の要件を満たしやすくする
2022年6月1日時点社会保障協定国は、23か国(うちイタリアは署名済未発効)です。
ドイツ・イギリス(英国)・韓国・アメリカ・ベルギー・フランス・カナダ・オーストラリア・オランダ・チェコ・スペイン・アイルランド・ブラジル・スイス・ハンガリー・インド・ルクセンブルク・フィリピン・スロバキア・中国・フィンランド・スウェーデン・イタリア
※イギリス(英国)、韓国、中国、イタリアとの協定は「保険料の二重負担防止」のみ
参考:日本年金機構
この協定の有無によっては、日本の年金の任意加入をするのかしないのかにも関わって来るかもしれません。
ちょっと考える時間が必要な場合もあると思いますので、時間には余裕をもって行動しましょう。