ここでは、げんきⅠの教科書の内容を教える際に、実際に私が学習者さんから質問があった事などをまとめています。
これが全てではありませんし、絶対ではありませんが、実際にレッスン中に感じたこと、聞かれた事をピックアップしてまとめていますので、教案作成の参考にしてもらえれば幸いです。
日本語教師なり立ての方や、初めてげんきを使って教える人の役に立てると嬉しいです。
尚、ここに記載している内容は、私が実際に日本と、イタリアで教えている(いた)生徒さんとのレッスンで気づいた点や聞かれた事です。
レッスン形態としては、プライベートレッスンやオンラインレッスンが中心になります。
新出語彙
第二課の新出語彙は、たくさん名詞がでてきますので、ここでしっかり定着するようにしていきましょう。
必要に応じて絵カードなどを取り入れると覚えやすいかもしれません。
初級では、単語を覚えることも重要になります。
いくら文法を理解しても、単語力が無ければ話すことができません。
また、げんきは第三課から動詞が入ってきますので、第二課までに出て来る名詞は覚えておいた方が後が楽になります。
こそあど
げんきでは第二課で「こそあど」が入ってきます。
少し注意した方がいいのか「そこ・あそこ」の距離の違いです。
プライベートレッスンやオンラインレッスンだと、距離感を伝えるのが難しいかもしれませんが、絵などを取り入れ「そこ・あそこ」の違いを伝えるといいです。
あと、日本語には「この・その・あの・どの」の表現もあるので、「ここ・そこ・あそこ・どこ」との違いを明確に伝える必要があります。
混乱すると「ここ本」「そこペン」などの言い間違いが出てきます。
「こそあど」はグループレッスンなど大勢いる場合は結構楽しく、レッスンが行えるのですが、プライベートレッスンやオンラインレッスンだと、中々楽しく行うことが難しいです。
げんきの教科書にも絵があり、練習できるようになっていますが、ただ、言うだけの練習になってしまい、あまり自分で考える事が少なくなりがちです。
ここは、日本語教師の皆さんの工夫が必要な個所でもあります。
ね・よ
日本語を話す際に、日本人は「ね・よ」を語尾に付けることが多いですが、違いは何でしょうか。
例えば「そうですね。」「そうですよ。」の違いは何でしょうか。
たった一語ちがうだけですが、使う場面が違いますよね。
「ね」は、相手の話に同意または確認をしている時に使います。
【同意の”ね”】
A:「今日は、暑いですね。」
B:「そうですね。」
【確認の”ね”(right?)】
A:「今日は、月曜日ですね?」
B:「はい、そうです」
「よ」は、相手にとって新しい情報を伝える時に使います。
A:「今日は、暑いですか。」
B:「そうですよ。」
この時は、AさんはBさんに今日は暑いかどうか確認をしていて、Bさんが暑い事を伝えています。ですので、Aさんにとっては「暑い」という情報は新情報になるのです。
この「ね・よ」が使えるようになると、少し感情が入った会話ができるようになりますので、是非、伝えて練習をするようにしてみてください。
ください・おねがいします
げんきの教科書では「ください=Please give me…」「おねがいします=…,Please」となっています。
どちらも同じような意味ですが、文法の接続が違います。
【名詞】
「コーヒー、ください」「コーヒー、おねがいします」
これは、どちらを使ってもOKですね。
【動詞】
「左に曲がって、ください」「左に曲がって、おねがいします」
「おねがいします」は動詞と一緒には使えませんね。
【副詞】
「ゆっくり、ください」「ゆっくり、おねがいします」
「ください」は副詞と一緒には使えません。
ください | おねがいします | |
名詞 | 〇 | 〇 |
動詞 | 〇 | ✖ |
副詞 | ✖ | 〇 |
時々、「ください」と「おねがいします」どちらの方が丁寧ですか、という質問を受けますが、日本語的にはどちらも同じレベルの丁寧度になります。
人によっては「おねがいします」の方が柔らかい印象になる、という人もいます。
なので、どちらを使ってもいいですが、接続する品詞によって使えない時があるという事だけ、簡単に伝えてもいいと思います。
まだ、第二課なので、そこまで完璧にする必要はないかと思いますが、会社の人に失礼の無いように使いたいと思ってい人が多いので、社会人の人などには、この話は結構好まれます。
カタカナ
げんきⅠの第二課の読み書き編は「カタカナ」です。
第一課は、「ひらがな」でしたので、第二課では「カタカナ」を確認し、第三課からスムーズに読めるようになることが理想です。
第三課からは、ローマ字がなくなり日本語の文字だけになりますので、「ひらがな・カタカナ」が読めないと第三課以降のレッスンをするのは難しくなります。
プライベートレッスンであれば、その人に応じて、最初の数分文字復習を入れてもいいでしょう。
苦手な人は、げんきのテキスト以外にも、読む練習をしていくといいと思いますので、色々と先生の方で準備しておくといいです。
学習者さんによっては、自身で文字を勉強するので、レッスン中はしなくてもいいという人もいますので、その辺は臨機応変にレッスン内容を変更していきましょう。
以前私の生徒さんで、中々文字が覚えられない人がいました。
その時に私が対応した方法が、課ごとの新出語彙を読んでもらうようにしました。
そうすると、文字を読む練習・新出語彙の勉強・発音の勉強を色んな事を一気にできるので、個人的には、文字が苦手な方には、この方法を取り入れてみてもいいのかな、と思います。